「歩」の裏が「と」になっている理由 4つの説と学の結論

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最近、中学生棋士の藤井聡太四段が大活躍して、将棋の人気が上がっているそうです。

いやぁ~若い人が活躍して、その団体や業界に活気が出るって、いいですね。

 

ところで、将棋といえば以前から疑問に思っていたことがあります。

将棋の駒の「歩」の裏が「と」になっているのって、不思議じゃありませんか ?

 

※「歩」は、通称「歩」と書いて「ふ」と呼ばれていますが、正式には「歩兵」と書いて「ほへい」と読みます。

 

学の記憶が正しければ(料理の鉄人風)、あの「と」は「金」のくずし字(くずし文字)だと聞いたことがあります。

そこで今回は、藤井聡太四段の活躍に刺激されて、学の記憶が正しかったかどうかを調べてみました。

 

あっ!

将棋の駒の「歩」の裏が「と」っていう意味がわからない人は、今回の記事は面白くないかもしれません。

ごめんなさい。

目次

4つの説

調べてみてわかったことは、「歩」の裏が「と」になっている理由が少なくとも4つあるということです。

 

1.「金」を崩した文字が「と」に似ているという説

2.「金」と同じ読みの今を崩した文字が「と」に似ているという説

3.「歩」は「止」を二つ合わせた字で、「止」の略字が「と」だからという説

4.「登金」の「登」の略字が「と」だからという説

 

では、どの説が正しいのか(正しそうなのか)四つの説を一つ一つ見ていきましょう。

 

1.金のくずし字説

「歩」の裏に書かれている文字は、「と」ではなく「金」のくずし字という説。

「金」のくずし字が「と」に似ているから、「と」と言われるようになったようです。

 

一般的には「金のくずし字説」が一番広まっているようで、ネット上ではこの説に断定しているところも多いです。

 

ですが、「金」のくずし字を調べてみても「と」に似ている文字は出てきません。

 

ではなぜ、「金」のくずし字説が生まれたのかというと、理由はあるのですが…。

 

ちょっと説明するのがややこしいので、後日、説明記事を追加します。

知りたい人は、また来て下さいね。

ということで次の説に移ります。

 

2.今のくずし字説

「歩」の裏に書かれている文字は「今」のくずし字という説です。

現在は違いますが、中世から近世にかけての日本では、発音が同じ漢字は当て字がよく使われていました。

 

「今」という字は「いま」「コン」の他に「キン」という読み方があります。

ですから、以前は「金(キン)」の当て字に「今(キン)」がよく使われていたらしいのです。

 

そこから「歩」裏に「金」の当て字で、「と」に似ている「今」のくずし字が使われたという説です。

 

実際、「今」のくずし字を見ると、言われてみれば「と」に似ているような…。

 

※「くずし字」は、正式には「草書」言います。

 

3.止の略字説

「歩」は「止」という字が上下に二つ合わさって出来ています。

そして「止」の略字が「と」だから、「歩」の裏が「と」になったという説です。

 

この説が一番単純で分かりやすいのですが、学にはどうもピンときません。

その理由は。またあとで書きます。

 

4.登金の略字説

16世紀後半の遺跡から将棋の駒が出土され、その中の「歩」の裏に「登」の くずし字が書かれていたという説。

 

この将棋の駒が出土されたのは、福井県一乗谷の 遺跡です。

福井県教育委員会が調査して、「歩」の裏に書かれていた文字は「登」の 草書(くずし字)だとされました。

 

しかし、その文字が本当に「登」の草書だったのかどうかについては異論もあるようです。

学もこの説は違うと考えています。

学が有力だと思っている説とその理由

以上4つの説を紹介しましたが、あなたはどの説が有力だと思いますか?

「これだけの情報じゃ決められないよ」と、言われるかもしれません。

 

当然です。

紹介している学も決められませんから。

 

それでも、何とかそれらしき理由をつけて、この4つの中から有力な説を選んでみたいと思います。

 

実は、学が一番有力だと思っているのは2番の「今のくずし字という説」です。

なぜ二番が有力と思っているのか、その理由を簡潔に説明してこの記事を締めたいと思います。

 

「歩」以外で「成金(なりきん)」になる駒の「銀」「桂馬」「香車」を考えてみましょう。

 

それぞれの駒の裏には、字の形は多少違いますが、すべて「金」のくずし字が書かれています。

ですから、「歩」の裏にも「金」のくずし字が書かれていると考えるのが妥当ではないでしょうか。

 

この考えに沿って、ほかの説を見ていくと。

 

1番の「金のくずし字説」というのは、そもそもくずし字自体がないので除外します。

 

3番の「止の略字説」は、「金」とは全く関係がないのでこれもまた除外されます。

 

4番の「登のくずし字説」というのは、本当にその文字が「登」という字だったか疑問符がつくので除外です。

 

ということで、学の意見では2番の「今のくずし字説」が有力ということになりました。

 

最後はちょっと強引に結論に持っていちゃいましたが、あなたもあなたなりに考えてみると楽しいですよ。

 

追申

あっ!

それから、「龍」や「馬」の裏がなぜあの文字なのか?

 

ちょっと気になるので、調べてみようかと思っています。

もし、調べてみて面白そうだったら記事にするかもしれません。

 

意見・要望・質問・感想などがありましたら、コメントして頂ければありがたいです。

では、また次回をお楽しみに。

 

参考文献:Wikipedia・「と金」の由来 – 大熊肇(PDF)・将棋の「歩兵」の裏の字は「と」ではなく、「今」という字の草書である – TONAN’s WEB

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